ネコ型オートマトン

王様の耳はロバの耳。

秋の宵にパブリックビューイングを

先日、ふと思い立ってラグビーパブリックビューイングに出かけた。日本代表がアイルランド代表を破った、あの歴史的な試合である。ラグビーは世界的に人気のあるスポーツで、日本にもファンは多いと聞くが、野球やサッカーと比べるとどうしても一枚落ちる。それで気軽に会場に入ったのだが、観戦ブースは結構な混雑ぶりで、少し驚いた。と同時に、ああ本当に盛り上がっているのだなと安心もした。別に私が心配する筋合いのものでもないのだが、ホスト国に暮らす者としては、やはりどちらかといえば盛況な方が責務を果たせている気分になるものだ。

 

かくいう私自身はというと、国際試合をときどき見る程度のにわかラグビーファンである。実際の試合をスタジアムまで観に行ったことも無い。パブリックビューイングも今回が初体験である。それでわかったのだが、パブリックビューイングというのは、観戦初心者こそ行くべきものだ。あれはつまるところ巨大スクリーンに流れているテレビ中継を大勢でワイワイと眺めるイベントで、大抵は周囲にそのスポーツが好きな人間が集まっている。タックルの度に歓声が上がり、ボールを取られればどよめきが走り、トライが決まれば割れんばかりの拍手に沸く。

 

そういう場所に放り込まれれば、ほとんど見たことの無いスポーツでも、何となくゲームの勘所がわかってくる。盛り上がり方がわかれば楽しくなるし、そうなれば観戦者としては初心者を脱したようなものだ。もっとも、ラグビーで言えば、ボールを前に投げてはならぬというような最低限のルールは心得ておいた方が楽しめるだろう。逆に言えばそれくらいで充分楽しめるので、細かいルールなどは追々でよろしい。

 

10月だというのに秋と言うには少し気温が高いような気もするが、夕方からは多少は過ごしやすくなった。選手として走り回る方は暑くて大変そうだが、観戦する分には気持ちが良い。何と言ってもビールを屋外でほどよく楽しめる季節だ。秋の宵にはラグビーワールドカップパブリックビューイングと洒落込むのも、なかなか良いものである。