ネコ型オートマトン

王様の耳はロバの耳。

日本の選挙は案外バランスが取れていると思った

参議院選挙が終了した。投票率は過去最低に近いものだったそうだが、全体として結果はバランスの取れたものになっていると感じた。個人的には:

 

  1. 与党で改選議席過半数を取った一方、自民党単独過半数にはならなかったこと
  2. 改憲勢力と見られている日本維新も議席を伸ばしたが、改憲勢力全体で2/3に届かなかったこと
  3. 旧来の野党勢力の低迷と新興諸派の躍進

 

といった辺りが目に付いた。野党支持者だとまた違った印象になるかもしれない。ともあれ国民の審判としては、概ね現政権の継続を望むが必ずしも自民党を強く支持している訳ではなく、憲法改正については慎重な態度を示している、といった感じに総括できるだろうか。有権者ひんしゅくを買った候補者たちがしっかり落選していたり、政府の対応がおざなりな印象のある地域で野党候補が勝利していた辺りも興味深かった。

 

特に鮮烈だったのは3番で、詳しい分析が出てくるのはこれからなのだろうが、東京選挙区などでは立民支持層の票がれ新候補に流れていたようだ。比例で山本太郎氏に入った票の大多数もおそらく既存野党支持層からのものだろう。彼らの多くはもはや既存野党を支持してすらいないかもしれない。ネットを眺めていると、反自民のうち特に若年層が山本太郎氏支持に回っている印象があり、私などからすれば氏の主張や手法はかつての政権交代前の旧民主党と同様に見えてならないのだが、彼らの目にはとにかく現状を変えてくれる希望のように映っているのかもしれない。政権与党はもとより、既存野党勢力はこの事実をしっかりと受け止めた方が良いように思う。近い将来に「とりあえず一度やらせてみよう」などとならないことを祈るばかりだ。

 

N国についてはちょっと現段階ではどう評価したものか正直よくわからない。地方議会ではそこそこ議席を持っているという話であるし、NHK受信料制度がよほど嫌われているということなのだろうか。N国以外にもNHKスクランブル放送化論者は時折見かけるが、NHKは国営でも民営でもない公共放送という位置付けであってこそ意義があるので、たとえ国会に議席を持っても全面スクランブル化は無理があるのではないか。とはいえ、受信料の徴収方法や方針には改善の余地が大きいと思うので、池田信夫氏などが主張されているように、ニュース報道はこれまで通り、それ以外のコンテンツは受信契約者のみのスクランブルというように、攻め方次第では面白いことになるかもしれない。NHKのコンテンツ力はテレビ業界では随一なので、実際のところ大幅に契約者数が減少するということも無かろう。