ネコ型オートマトン

王様の耳はロバの耳。

チームのストレスといったものを初めて経験している気がする

誰かの足を引っ張って忸怩たる思いをするとか、逆に誰かが足を引っ張るせいで苦杯をなめるとか、そういったチームならではのストレスに煩わされた経験が、私には皆無に等しい。学生時代は競技性の無い文化系クラブにばかり所属していたし、仕事もフリーランスのような形でやっているからだ。大抵は家に妻と二人で居て、それぞれパソコンに向かって仕事をしたり、あるいは別のことをして生きていると、なかなかそういう経験をしうる機会に恵まれない。

 

それでという訳ではないが、四月頃から、任天堂の『スプラトゥーン2』を毎日少しずつ遊んでいる。これは四人ずつふたつのチームに分かれてインクで地面を塗り合うオンライン対戦ゲームで、制限時間内により多く塗れたチームの勝ちという明快なルールが人気を博し、eスポーツの一競技として見る向きもある。ざっくり言えばチームスポーツの一種であって、もう少し言えば、私が初めて経験するチームスポーツである。

 

チームスポーツであるから、うまいプレイヤーもいれば、私のようにヘタなプレイヤーもいる。また少しずつとはいえ毎日やっていれば多少上達もするもので、私から見ても立ち回りの粗いプレイヤーというのもいる。スプラトゥーン2にはナワバリバトルとガチマッチという大きく分けて二種類のオンライン対戦があるが、ナワバリバトルと比較するとガチマッチではプレイヤーの巧拙が特に際立つ。そしてそれが勝ち負けに直結する上、かなり明確な形で決着がつくため、どうしても勝負意識が強くなる。要するに負けると大変なストレスを感じる。このストレスは概ね、冒頭に掲げた、足を引っ張ってしまったことや足を引っ張られたことに起因するもので、とにかく「思うように動けなかった」ことに強い憤りを感じる。

 

まあこればかりは頑張って上達するしかないので、妻に愛想を尽かされない範囲で努力を重ねようと思う。いつかウデマエSに辿り着いたら、今のことを懐かしく思い出したり、あるいは右往左往する新米イカを温かく見守ることができるようになるだろうか。

 

逆に、勝つと実にこの上ない愉悦を感じることができ、どちらも私にとっては初めて経験するものだ。勝利の美酒は敗北の味を知らなければ本当には楽しめないのだろう。なるほどチームスポーツというのも良いものだなと思う。

 

世に出て行く人間で、私同様に学生時代にチームならではのストレスを経験しなかった人は相当数いるのではないだろうか。そういう人が、社会に出て、就職し、会社というチームの中で急にかようなストレスにさらされたら、それはショックだろうなと思う。学生時代にチームスポーツを部活などで経験する意義があるとしたら、その辺にあるのかもしれない。